103-100=3
第100回全国高校野球選手権記念大会が終わった。優勝校は大阪桐蔭で、史上初の2度目の春夏連覇である。それはそれで大変な記録だが、自分には準優勝の金足農業高校のほうがずっと強く印象に残った。大阪桐蔭が勝ってもさほど驚きはない。「やはり勝ったの。そうだろうね」という程度の受け止め方だ。それに対して金足農高は、準優勝でも「へぇ~、大したものだ」と思う。
これにはいくつかの理由がある。①甲子園出場校では数少ない公立高校であること=予算や練習環境などで私立校には及ばない、②地元出身の選手たちであること=全国から有望な選手を集めれば強くて当然、③農業高校であること=日本の産業における農業の位置づけや営農環境の現状などから、である。
このようなことから(無意識かもしれないが)、金足農高を応援した人は少なくないはずだ。「日本農業新聞」も連日のように報道し、21日には電子号外、22日づけは1面トップだったという。同紙の報道ぶりをテレビで観たが、『金農』という大きな見出しの文字を、一瞬、『全農』と錯覚してしまい、すぐに気づいて苦笑した。
ところで、秋田勢が決勝まで進んだのは、1915年の第1回大会(全国中等学校優勝野球大会)における秋田中学(当時)以来という。つまり金足農高は100回記念大会で、秋田県から103年ぶりに決勝にまで進んだ。この103-100=3こそ、100回記念大会を象徴する数字だと思う。「3」という数値の重みである。
「3」という空白の間に、全国大会出場という夢を奪われた野球少年たちがたくさんいた。夢だけではなく命すら失った若い人たちもいたのである。このような意味で、103-100=3こそ、金足農高がもたらした最大の功績のような気がする。100年後の200回大会は203-200=3のままであってほしい。
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