大地に根差す
そこで甲府まで行き、駅前からバスに乗って山梨県立美術館へ。ジャン=フランソワ・ミレーの「種をまく人」との対面は実に久しぶりである。最初に観たのは、山梨美術館の所蔵になる以前に上野でだった。この時は、大勢の人波にもまれながら短時間しか観ることができなかった。だだし、ミレーにはほぼ同じ構図の「種をまく人」が2点あり、1点はボストン美術館の所蔵になっているので、最初に観たのがどちらだったかまでは覚えていない。いずれにしてもその後、山梨美術館には2度観にいっているから、今回は4度目のご対面である。
なぜ「種をまく人」が好きなのかといえば、大地にしっかり根差した生の力強さのようなものを感じるからだ。ずっと根無し草のような生き方をしてきた自分にはないものである。今回も「種をまく人」を観ながら、結局、大地に根を張って生きる人は強い、と思わずにはいられなかった。だが、それができない自分をも再確認することになった。わが道を行くしかない。行けるところまで行ってみよう。
それにしても観るたびに新発見はあるものだ。「種をまく人」をじっと観ていたら、あぁ、そうだったのか、と初めて気づいた点があった。それも名画たらいめている要素の1つだったのか…。それについてはもう少し考えて頭を整理してから、機会があれば何かに書くことにしよう。
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