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2019年4月29日

ダメなものはダメ!

 この前、テレビでニュースを見ていて驚いたことがある。原子力規制委員会の更田豊志委員長の会見だ。テロ対策施設の設置が期限までに間に合わないとして救済(再延期)を求める電力各社に対して、はっきりノーと回答したのである。期限に間に合わなければ、電力各社は運転停止を余儀なくされる可能性が高くなった。

 「規制の精神にかかわる」とダメ出しをしたのだが、テレビのニュースで会見の様子を観る限りかなり強い口調だった。あたかも規制委員会をなめるなよ! といった雰囲気すら感じられたので驚いた。

 発生のリスクは極めて低いとしても、テロなどに備えて遠隔で原子炉を操作できる緊急時の制御室や、原子炉を冷却し続けることができる発電機やポンプなどのバックアップ設備の設置を新規制基準では義務づけている。決まりを守りなさいと言っているだけなのだが、政府の電力政策に対して「忖度」はしないと明言したも同然だ。一方、救済を求めた電力会社には甘えがあったようにも思える。

 原子力規制委員会の姿勢には、2017年12月の広島高裁の判決が影響しているという一部の報道もある。伊方原発3号機の運転差し止めを命じたものだが、この仮処分決定の理由で、原子力規制委員会の判断が批判されている(のちに仮処分は取り消された)。このような背景もあって今回は強い姿勢で臨んだ、という見方もあるようだ。

 テレビニュースでは、官房長官の会見も放送されていたが、独立性のある原子力委員会の判断に委ねるといったコメントであった。原発再稼働の際には、世界的に厳しい規制基準をクリアしたと原子力委員会が認めたのだから、と第三者的な委員会の判断を強調して政府の意向ではないように言っていたのだから、今回もそういわざるを得ないだろう。

 それにしても、ダメなものはダメ! とはっきり言うことが難しい世の中になってきた。日本銀行の金融緩和政策や、内閣法制局の憲法解釈など、「良い見本があるのだから見習えよ」という雰囲気が漂っている中で、今回のニュースには驚いた次第である。

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