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2019年5月

2019年5月27日

単月か時系列か

 先週、新潟駅から乗ったタクシーのドライバーの景況感は名言だった。地方に取材に行くと、たいていはタクシーに乗る。講演なら会場がほとんど主要駅近くのホテルなので歩くが、取材では不便なところが多いのでタクシーを利用する。先々週など、安中駅前(群馬県)で順番待ちしていたタクシーに乗ったら、偶然にも訪問する運送会社の系列会社の車だった。行き先を告げたら、「ありがとうございます。いつもお世話になっています」と言われたので、「グループのタクシー会社だっけ」と聞いたら、「そうです」というのでお互いに笑ってしまった。

 過去にも何回か書いたが、タクシーに乗るとドライバーに最近の景気はどうか? と尋ねるようにしている。ドライバーは学者や研究者ではないので、地元経済を広い視野から分析しているわけではない。あくまで自分の身の回りの体験的な主観だ。だが、それを踏まえても参考になることがある。新潟のドライバーは、「ここ何年間は階段をゆっくり下りているような感じです」という。景況感を表現するのに「踊り場」という言葉がしばしば使われる。「ゆっくり階段を下りているような感じ」とは、なかなかうまい表現だと感心した。

 奇しくもその日(5月24日)、政府が5月の月例経済報告を公表した。内閣府が5月13日に発表した景気動向指数では、基調判断を6年2カ月ぶりに「悪化」とした。そこで政府の月例経済報告が注目されていたのである。だが、月例経済報告では総括判断を2カ月ぶりに下方修正したものの、「景気は緩やかに回復している」との認識は維持した。月例経済報告では2013年7月からずっと「回復」としている。つまり、この間の政府の経済政策は間違っていないことになる。

 だが、緩やかであっても自分には景気回復が実感できない。たしかに、その月だけを単月で見れば「緩やかな景気回復」という判断もあり得るのかな、と思わなくもない。だが、かりに12カ月間、緩やかに景気が回復し続けているとすれば、1年前と現在を比較するとかなり景気が良くなっているはずだ。先のドライバー氏のように、1カ月に1段ずつでも階段を下りていれば、1年では12段も下がったことになる。月例経済報告もゆっくり1カ月に1段ずつ階段を上がっているなら、1年では12段も上がったことになるのだが、果たしてどうだろうか。

 もっとも、自分1人だけが世の中から取り残されていることもあり得るのだが…。

2019年5月20日

また寅さんに会えそう

 山田洋次監督が「寅さん」の新作を製作中で、暮れごろ上映になるという。寅さんシリーズはこれまで48作あるが、おそらく3分の2ぐらいの作品を観ていると思う。今度は寅さん役の渥美清さんがいないのに、どのように映画を作るのか興味がある。同時に、また寅さんに会えるのが楽しみだ。

 そんなことで、この前、柴又に行った機会に帝釈天から「寅さん記念館」と「山田洋次ミュージアム」を廻ってきた。ついでに矢切の渡しにも足を延ばした。いつだったか忘れたが、ずっと昔、矢切の渡しは船で往復した記憶がある。

 寅さん記念館でセットなどを見ていると、渥美さんが健在だったら、後期高齢者の寅さん映画を観たかったという思いがある。高齢者になっても相変わらず旅の空で、さびれた町の美しい自然の中で気品のある高齢のご婦人と2人で昭和、平成の時代の思い出をしんみりと語り合っている。その時、寅さんのスマホが鳴る。「ちぇ、まったく気が利かねえ電話だな」といって出るとさくらさんからの電話だった。すると寅さん、「なんで〇〇さんと2人でここで話をしているのが分かったんだ」と、思わず言ってしまう。「〇〇さんて、どなた」とさくらさん。寅さんが言いよどんでいると、「何を話していたの」とさくらさんが追求。「いぁ、まぁ、少子高齢化社会だとかさ、買い物難民とか…、いま込み入ってるんで後で電話するよ」といって寅さんは電話を切ってしまう。

 さくらさんからその話を聞いた甥の満男君(もうすっかり中年だ)。「買い物難民かぁ、そういえばおじさんは昔から移動販売のような仕事だったな」と笑う。

 高齢者になっても生涯現役の寅さんにとって正月は稼ぎ時。遠い旅先で初もうでの客を相手に商売繁盛。その合間を縫って、さくらさんに新年のあいさつをメールする。とらやの茶の間でメールを見たさくらさんは、超高齢化して寝たきりのおいちゃんに「お兄ちゃんから新年のあいさつよ」と言ってメールを見せる。ハズキルーペ? をかけてメールを読んでいたおいちゃんが「まったくいい歳して、寅はこんな簡単な漢字もまだ分からないのか」というと、博さんが「それは転換ミスですよ」という。それを聞いていたおばちゃんは「最近の電子年賀状はややこしくて、いやだ、いやだ」。すかさずタコ社長が「メールで年賀のあいさつなんて、寅さんにとっては大進歩ですよ」といって一同が大笑い。

 こんなシーンが頭に浮かんでくる。それにしても寅さんの新作が楽しみだ。昔のように観客は大笑いするだろう。だが気づいてみると頬に1筋の涙が…。いや、いや、昔からのファンは高齢化しているので涙腺が緩み、頬に伝う涙のあとは2筋、3筋になっているかもしれない。

2019年5月13日

非日常から日常へ

 前回も書いたように連休中に新刊書1冊分の原稿を書き上げることができた。連休中も原稿書きに集中したとはいえ、この間は通勤電車の車内の様相も普段とは違うし、事務所に1日いても電話や仕事関係のメールもほとんどない。やはり気分的には非日常だった。だが、連休明けの7日からは日常に戻った。出版社に早速データを持参して販売促進の方法などについて打ち合わせ。その後はレギュラーで連載記事を出稿している先に、PRなどのお願いにも訪ねた。

 連休明けの翌々日には群馬県の会社に取材で日帰り出張した。今回の取材内容の担当者と社内を廻っていたら、偶然にも2人の方と久々にお遇いした。1人はむかし一緒にアメリカに行った人で、現在は同社の常務になっていた。もう1人はやはり一緒にヨーロッパに行った人で、すでに定年を過ぎたが現在は嘱託として働いているという。実はスペインのマドリッドで小生がちょっとしたトラブルに遭ったのだが、そのことを良く覚えていてくれた。現金の被害はほとんどなかったでしたね、というので、日本円にして1000円ぐらいだったが公表1000ドルにしている、といって笑った。いずれにしても懐かしいお2人だった。

 その後、宮崎県の会社の社長に電話でアポイントをとって航空券や宿泊の手配をし、5月20日に発行される活字媒体への連載記事を1本書いてデータをメールで送信。さらに、連休前に入稿していた原稿の校正など、一気に非日常から日常に戻った。

 そういえば、大型連休中は毎日、ラフな格好で仕事をしていたが、連休が明けてスーツで出かけようとしたら、何といつの間にかクール・ビズになっていたではないか。時の流れは速いものだ。

2019年5月 6日

連休と働き方改革

 10連休の人もいただろうし、10日の間に断続的に休んだ人もいただろう。いずれにしても大型連休は今日までとなった。

 4月22日づけでも書いたが、連休中は単行本の原稿書きに費やした。1日だけは休んだが、今日も含め9日間でほぼ1冊分の原稿を書き上げることができそうだ。9月下旬に発売予定で、タイトルはなんと『働き方改革……』である。過重なる長時間労働によって書いた『働き方改革』の本なのだから、必ずや売れると信じている。

 それはともかく、連休中は高速道路の渋滞や、鉄道でも混雑が続いたようだ。これは例年のことだが、せっかくの休みなのに逆に疲れた人も多いだろう。それでも明日からは「日常」に戻らなければならない。

 なんで大型連休はこんなに混雑するのだろう。これこそ、普段いかに自由に休むことができない社会なのかという証左である。そのため、与えられた「お休み」にみんなが一斉に出かけたりすることになるのだ。

 考えるに、祝祭日の増加などしなくて良い。それよりも有給休暇を増やして、各人が自分の都合に合わせて自由に有給休暇を消化することができ、年間を通して総労働時間が短縮されるような社会が望ましいのである。それが本当の働き方改革だ。そのためには正社員を増やして勤務ローテーションに余裕を待たせなければならない。不本意非正規雇用労働者がたくさんいるのだから、できないことはない。そうすれば内需も拡大するし、年金も健康保険の財源も増え、税収増にもなる。

 それが先進国というものではないだろうか。もっと余裕をもって生きられる社会の実現を目指すべきだ。かく言う自分はどうなのか? それを言っちゃ~おしまいよ。いかに生産性の低い仕事しかしていないか、ということが改めて実証された連休だった。

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