実らない秋
2、3週間前までは半そでシャツでも良いような暖かい日があったかと思うと、たちまち薄手のコートを着てもおかしくないような寒い日になった。晩夏から一気に初冬という感じで、秋がそっくり抜け落ちてしまったような気がする。「実りの秋」はどこに行ってしまったのだろうか。
また、また台風21号の影響により関東、東北など広域にわたり豪雨が襲った。激しい雨が降る10月25日に、茨城県筑西市のセレモニーホールで、台風19号で被害を受けたJR水郡線(茨城県の水戸と福島県の郡山を結んでいる路線)の沿線の人と久しぶりに顔を合わせたので話をした。水郡線は鉄橋などが流されて不通区間がある。その人の住まいや会社は被害に遭わなかったのだが、不通になっている区間は人口が減少していて「それでなくても不採算路線なのに、このまま廃線になってしまうかも知れない」と危惧していた。もし、そうなると人口減少に拍車をかける結果になってしまう。
水郡線に限らず、台風19号では各地のローカル線が被害を受けたので、廃線になってしまうのではないかと心配だ。鉄道などの自然独占産業は経済原理だけでは判断できない面がある。国の在り方に関わる根本的な問題なので、これからの日本をどのようにしていくのかという観点から考える必要がある。採算性だけではないのである。
それにしても千葉県は大変だ。台風15号で受けた被害が復旧できないのに、台風19号、さらに今回の台風21号の影響による大雨と、短期間にトリプル災害に見舞われた。千葉県には限らないが、農産物などの被害も大きい。果樹農園などの場合、収穫直前で被害に遭えば収穫できたはずの産物がダメになる。農家は減収になって大きな被害を被るが、それだけにとどまらない。来年さらには再来年以降の収穫にも影響が出る可能性もある。そう考えると、直面している被害だけではなく将来にわたってダメージを受けることになってしまう。
本来は実りの秋のはずなのに、実らない秋になってしまった。再び実りの秋が来るようにするにはどうすれば良いのか。ローカル線の存続問題とも不可分のような気がする。
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