懐かしい私鉄沿線
西武池袋線の保谷駅で降りた。取材先の所在地は新座市なのだが、距離的に一番近い駅が保谷なので池袋から西武線で行ったのである。西武池袋線に乗車するのは何年ぶりだろうか。記憶では数年ぶりのはずだが、それでも久しぶりなので懐かしかった。というのは、ずっと昔は毎日、同線を利用していたことがあったからである。
かつて生活したことがあるのは江古田駅から10分程度のところだった。さらに江古田から引っ越して2、3年後には、再び石神井公園駅の近くのアパートに移り住んだことがある。今となれば、いずれも古き良き思い出だ。
江古田にいた時には住み込みに近い形で新聞配達のアルバイトをしていた。しかし、いろいろなことがあった。詳細は省くが、ある事情で新聞配達のアルバイトが難しくなり、江東区の錦糸町の方で牛乳配達のアルバイトに替わったのである。その後、まがりなりにも正業に就くようになってから、また石神井公園の近くのアパートに越してきた。だが、石神井公園での生活も2年間だけだった。これも詳細は記さないが、その後、目黒区の方に引っ越したのである。
そういった経緯もあり、池袋から保谷までの間にある江古田と石神井公園の駅にも止まるように各駅停車に乗った。往復とも車窓の外ばかり眺めていたのだが、当時とは景色が一変していた。鉄道も高架橋になってしまったので、窓から見える風景もほとんどが建物の屋根ばかり。もっとも昔は沿線には畑が多かったが、何もかもすっかり変わってしまった。仕方がないことである。
沿線の様相は全く変わったが、懐かしい私鉄に乗ると、南こうせつとかぐや姫の「神田川」(喜多條〈条〉忠作詞、南こうせつ作曲、木田高介編曲、1973年)、布施明の「積木の部屋」(有馬美恵子作詞、川口真作曲、1974年)、野口五郎の「私鉄沿線」(山上路夫作詞、佐藤寛作曲、筒美京平編曲、1975年)などの歌を思い出す。短い乗車時間だが、プチ・センチメンタル・ジャーニーである。
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