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2021年5月17日

今風の二宮金次郎

 財務省の発表によると2020年度末(2021年3月末)の、国債、借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」は1216兆4634億円になるという。この「国の借金」は過去最大である。2020年度は新型コロナウイルス対策で大型補正予算を編成したので、前年度比の増加額も過去最大になったが、コロナに関しては仕方がない。問題の本質は、それ以前に財政赤字の縮小に努めてこなかった財政政策にある。

 日本の推計人口は約1億2320万人なので、この「国の借金」を国民1人当たりにすると987万円強になる。つまり赤ちゃんから高齢者まで1人平均約987万円の借金を背負っているのと同じだ。

 そこで頭に浮かんだのが、むかし小学校にあった二宮(尊徳)金次郎の像である。説明するまでもないが、本を読みながら薪を背負って歩いている姿だ。貧しさにも負けずに黙々と努力する勤勉さや道徳心を育もうと、その時々の為政者が利用した観がある。

 それはともかくとして、「国の借金」が1人平均約987万円というニュースに接して、この二宮金次郎の像を思い出した。そして次に、二宮金次郎を今風にしたらと考えたのである。本ではなくスマフォの画面に集中してわき目も振らず、背中には薪ではなく多額の借金を背負いながら黙々と歩いている若者たちのなんと多いことか。衣服その他、身に着けているのは全部ブランド物である。

 スマフォで何を見ているのか。Web上に流れているのは、ネット通販の商品情報を含め大半がコマーシャルの類である。また、中にはフェイクニュースなどもたくさん拡散されている。あるいはゲームをしながら歩いているのかも知れない。もちろん、電子書籍を読んでいる勉強熱心な若者もいるだろう。一方、背中に背負っているのは何かといえば、「国の借金(1人当たり987万円)」+個人的なローンなどである。

 これが、いたる所で目にすることのできる今風の二宮金次郎だ。だから現在の為政者は二宮金次郎像を造る必要がない。多くの若者が為政者の求める模範的な姿をすでに体現しているからである。

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