金融緩和のツケ
(亀戸天神社の梅 鳥居の向こうには東京スカイツリーが=東京都江東区)
値上げラッシュが始まった。コロナによる国際的な物流停滞、原材料の高騰などが主な理由だ。それに輪をかけているのが円安である。
先日、驚いたことがある。1人の会社だが設立してから約四半世紀にわたり、市民税や社会保険料は報酬からの預かり金として、会社負担分の法定福利費と合わせて会社が毎月支払う形にしてきた。法人名義の電話代も一緒に、毎月、郵便局(現在はゆうちょ銀行)の窓口から現金で振り込んでいた。自動引き落としにしないで、毎月、郵便局の窓口に行くのは、息抜きや気分転換になるからだ。
ところが先週、電話代を窓口から現金で振り込むと110円の手数料がかかるといわれた。硬貨の取り扱いについては取扱い枚数によって料金がかかるようになるというのは、新聞やテレビなどの報道で知っていた。だが、電話料金の窓口での現金振り込みにも手数料がかかるとは知らなかった。
ゆうちょ銀行に限らず、この間に銀行の各種手数料が値上げされている。従来は無料だったものが有料化されたものもある。1件あたりは少額なので、それほど意識されにくいが、積り積もれば結構な負担増になっているはずだ。これも本をただせば日銀の金融緩和策に行きつく。金融緩和のツケが広く浅く、国民に回ってきていることになる。
円安が原油価格高騰に拍車をかけているが、円安も金融緩和と無縁ではない。また、日銀はETF(上場投資信託)を介して株価にも少なからず影響を与えている。大企業や一部の富裕層は円安や株高の恩恵を受けているが、そのツケは国民や力の弱い企業が払っていることになる。
2013年4月22日づけの当コラムで、「札は刷れ刷れ 刷るならば 『日出づる国』の このYenを 刷り増すほどに バラ撒けば これぞ真の『黒田節』」と書いた。そして「これが杞憂であれば幸いだ」とも書いておいたが、どうやら杞憂には終わらなかったようだ。
それにしても金融緩和策で2%に物価上昇目標を達成するはずだったが、未だに目標を先延ばしし続けている。それに対する責任も取ろうとしないのだから気楽なものだ。
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