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2022年5月

2022年5月30日

新視界への広がり

Photo_20220526164501 (等々力渓谷=東京23区で唯一の渓谷 世田谷区)

 明日で5月も終わり、明後日からは6月に入る。しばらくは梅雨のうっとうしい日々が続くのかと思うと気分も沈みがちになる。いつも通りに何となく過ぎた5月だったが、それでも何か新しい視界が開けてきたような気がする。曇天の雲の切れ間から差し込む、陽の光に照らされた僅かな空間を斬新に感じるのと同じだ。いつもの見慣れた風景でも、スポットライトに照らされたようで、今まで気づかなかった驚きがある。

 ある雑誌の女性編集者から、原稿の内容は同じでも構成を変えた方が良いのでは、という提案があった。たとえば、この取材先のコメントは後の方よりも冒頭に持ってきた方が読者をひきつけるのではないか、と言ったことである。そこで編集者に一任して全体の構成を変え、出てきた校正を読んだら、これまで自分では気づかなかった新たな発見がたくさんあった。これからは、執筆時に従来とは少し違った視点からも推敲することにしようと思う。

 そんな気持ちで雑誌記事の再校正をしていると、今度は別のある出版社の超ベテランの女性編集者から話があった。これまでの自分の狭い視界から、もっと広い世界が見えてくるような示唆に富んだ提案である。少子高齢化が進むこれからの日本の、社会基盤を支えるサスティナブルな物流の構築を問題提起するような原稿執筆のオファーだ。国民の物流に対する意識の転換を図らなければ、物流が抱える課題の根本的な解決にはならない、というのが主旨である。そんなことで今秋には3年ぶりに新書を上梓することになった。

2022年5月23日

上がる、上がる!

Photo_20220521101201 (久保田城表門=秋田市 千秋公園)

 有限会社にしているが実質フリーなので「在宅勤務」と言えるかどうか分からない。だが、事務所を閉鎖して1年10カ月が過ぎ、「通勤」しない生活パターンにも馴れてきた。そのような中で大きな変化の1つが、スーパーで買い物をする機会が増えたことである。仕事で外出する日を除けば、昼食もほとんど近くのスーパーで弁当などを買って食べている。ところが最近、様々な商品の値段が高くなっていることに驚く。

 それもそのはず。総務省の発表によると、生鮮食品を除く4月の消費者物価指数(2020年=100)は前年同月より2.1ポイントも上がった。消費者物価指数の上昇は8カ月連続という。毎日の買い物で商品の値上がりを実感するのは当たり前だ。

 物価上昇の主たる理由はエネルギーや原材料の高騰で、ロシアによるウクライナ侵略戦争の影響も大きい。さらに円安も物価上昇の一因だ。反面、物価変動を踏まえた3月の実質賃金は3カ月ぶりに低下した。そのようなことから「悪いインフレ」とも言われている。

 だが、日銀は大規模金融緩和策を続けるという。大部分の国民の生活を苦しめるような「悪いインフレ」の一因になっている円安も、「大所高所」から見ると政策的には正しいという判断のようだ。たとえ悪いインフレであれ、黒田日銀総裁が就任時に目標とした2%のインフレ目標を約9年もかかって達成したのだから、まずは「おめでとう」と言うべきか?

 上場投資信託(ETF)による異常な株式の保有や、膨大な国債の買い付けなど、残り約1年の任期でどう決着をつけるのだろう。それとも、どこかの国の主席と同じように、さらにあと5年も日銀総裁を続けたいのか。いずれにしても、いまだに「アベノミクス」が続いている。

2022年5月16日

不来方の‥‥十五の心

Photo_20220513070201 (啄木が寝転んだのはどこ?=岩手県 盛岡城跡公園)

 かすかな記憶によれば、盛岡城跡公園を訪ねたのは10年半ぶりだ。その後も盛岡には何度か行っているが盛岡城跡公園にまでは足を延していない。今回、出張のついでに約10年ぶりに足を運んだのは、石川啄木の歌碑に再会したかったからだ。「不来方の お城の草に 寝転びて 空に吸はれし 十五の心」という有名な歌である。

 そのようなことで個人的な心情としては「不来方城」と呼びたいところだ。実際に盛岡城は別名、不来方城ともいわれる。しかし、歴史的には不来方城と盛岡城は異なる城のようである。

 公園内の写真を撮って歩き、ベンチに腰掛けて「啄木が寝転んでいたのはどの辺かな」などとぼんやり考えていた。すると、若者たちに「すみません。写真を撮ってもらえませんか」と声をかけられた。高校生の修学旅行かなと思ったので訊くと、「中学生です」と言う。「大きいね」と言ったら「ありがとうございます」と清々しい元気な返事が返ってきた。

 どこから来たのかと訊くと、「北海道の苫小牧です」という。男女が4人ずつ8人のグループで、おそらく班ごとに市内を見学して歩き、調べたことなどを観察記にまとめるのだろうと思われた。各人がメモを取っている。同時に、記念の写真を添付するのだろう。いまどき珍しく「写ルンです」を渡された。背景の石碑も入れたいか聞いたら「入れてください」と言うので、それなら横位置よりも縦位置の写真の方が良いだろうというと、「はい」と言って自然に8人がより密に寄り添うようにして集合写真におさまった。

 「あっちに啄木の歌碑があるよ」と言ったら、「ありがとうございます」と歩いて行った。素直な生徒たちで好感が持てた。しばらくして、また帰り際にもすれ違ったら「ありがとうございました」と挨拶された。そこでフッと頭に浮かんだのは「空に吸はれし 十五の心」だった。啄木が教室を抜け出して不来方の城の草に寝転んで空を見上げていたのは、中学生の彼ら、彼女らとほとんど同じ年頃だったと気づいたのだ。

 一方、自分が15歳のころはどうだったろう。そして「十五の心」は今いずこに‥?

2022年5月 9日

運航管理者と経営者責任の厳格化

Photo_20220505074701 (端午の節供=山梨県甲府市 武田神社 甲陽武能殿)

 行動制限のないゴールデンウィーク(GW)は3年ぶりなので、一昨年、昨年と比べて今年のGWは人出が多かった。コロナ感染防止に注意しながらも、久々の解放感を楽しむ人たちで観光地はにぎわったようだ。活気があることは良いことだ。

 だが、GWに先立つ4月23日に行楽気分に水を差すような事故が起きた。北海道の知床半島沖をめぐる観光船「KAZUI」の沈没である。報道によると、安全管理体制が極めて杜撰だった。また、知床遊覧船の社長が乗客の家族に配った文書では、運航管理者としての責務を全く果たしていないことを認めている。これは犯罪に等しく、事故ではなく事件と言っても過言ではない。同時に、観光船と事務所との連絡体制の不備などを見逃していた行政側の責任も問われる。

 今回の観光船の事故に限らず、バスやトラックによる事故でも、ブラック企業の経営者は船長や運転者に総ての責任を負わせようとする。船長や運転者の責任は逃れられないが、運航(行)管理者も相応の責任が問われなければならない。さらに経営者の責任である。だが、責任はせいぜい運航(行)管理者までで、経営者まで及ぶことは少ない。今回のケースでは運航管理者が経営者と同一人だった。運航管理者としての責任と経営者としての責任の両方を二重に問われるべきだ。

 何より行方不明者の捜索が急がれる。船体の引上げも難航しそうなので、原因解明には時間がかかるだろう。だが、今後の問題として、陸海空のいずれの運送事業法においても運航(行)管理者と経営者の責任をもっと厳格に定める必要があるのではないか。また、事業法とは異なる法体系だろうが、今回のような事故が起きた際には、経営者の個人資産の名義変更を一定期間できなくするような法律も必要だと思う。

2022年5月 2日

300回&300号の一致

 

Photo_20220428172501  (端午の節句=男の「古」 わが家の玄関)

 全日本トラック協会が「広報とらっく」という会報を発刊している。8月は夏休みがあって1回だけだが、それ以外は原則として毎月1日と15日の2回発行だ。この「広報とらっく」に毎回、「運送事業者のための経営のヒント」というコラムを連載している。コラムなので通常は囲み記事である。

 4月上旬に制作会社の担当者からメールが送られてきた。5月1日号は300回特別編として1面全部(ブランケット版)を使った記事にしたい、という企画書である。テーマはトラック運送業界で大きな課題になっている「2024年問題」。


 メールをみて300回になったことに初めて気づいた。第1回が2009年1月15日号なので、連載を始めてから13年目になる。この間に新年号やその他で特別編は何度か書いている。その中でも2019年1月1日号から3月15日号まで6回にわたるシリーズで書いた特別編「トラック運送業界 平成の30年」は反響が大きかった。業界の集まりに行くと、何人かの初対面の人からも「読んでいます」と声をかけられたことがある。それにしても5月1日号で300回とは思ってもいなかった。

 すると偶然にも、自分が毎月発行している会員制情報誌「M Report」も5月1日号で通巻300号になった。これも全く意識になかったのだが、5月号の表1の日付やVol-№、通巻などを書き換えていて、あれ、300号だと気づいたのである。創刊号は25年前の1997年6月1日号だ。あれから四半世紀が経ったことになる。1人で25年間も良く定期発行してきたな、とつくづく思う。

 「M Report」に記事をかくための取材があらゆる仕事のベースになっている。様々な媒体にレギュラーで出稿している連載記事は月5.5本(0.5は隔月刊の雑誌)ある。さらに単行本を書くこともそうだし、イレギュラーで入ってくる原稿依頼や講演、その他が「M Report」に掲載するために取材した内容の蓄積から成っている。「広報とらっく」のコラムもその1つだ。

 5月1日号で「M Report」通巻300号と「広報とらっく」連載コラム300回が一致したのも何かの縁に違いない。

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