祝「物価上昇率2.3%」見通し
(高幡不動五重塔=東京都日野市)
日本銀行が7月21日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」によると、2022年度の物価上昇率は2.3%になる見通しのようだ。日銀が長年の目標にしてきた2%をやっと上回る見込みである。黒田総裁に「おめでとう」と言わなければならない。これで金融緩和政策が正しかったことがリッパに証明される。どこかの国の国家主席のように、総裁をもう一期延長してお願いしたいものだ。
ある企業の話しである。創業者一族によるオーナー経営の会社だ。創業者の孫が社長に就任すると、ある金融機関からたくさん融資を引き出した。自分の息のかかった人を頭取に押し込んだ金融機関だから金利は「異次元」に低い。そこで、ますます借り入れを増やし、借金は膨大に膨らんだ。その借りた金を幹部社員にバラまいたので社長は幹部社員から大好評である。だが大部分の社員には何の恩恵もない。それどころか、いずれ返済しなければならない借金の重荷は一般社員の肩にのしかかってくる。
借金のおすそ分けに与った幹部社員はホクホクだが、一般社員は希望退職で辞めさせられ、代わって非正規社員がたくさん採用された。正社員2人分の人件費以下で非正規社員なら3人雇える。そのため就業者の人数は以前より増えたが人件費総額は減少した。1人平均の賃金が下がったのである。低賃金の就業者が増えたので会社は売上・利益とも増加した。社長はじめ幹部社員たちはご満悦である。
そして社長や役員はあたかも生産性が向上したかのように錯覚した。本来なら、生産性を向上するには技術開発や設備更新などの投資が必要だ。しかし、安い賃金の従業員に入れ替えるだけで売上・利益が増えるので、設備投資をする必要はなく、技術革新などの経営努力もいらない。若社長は「どや顔」で得意満面だが、気がつくとその間に他社との生産性の差が拡大していた。
さらに原材料などの仕入れ価格がにわかに高騰し、利益が圧迫されてきた。もし、ここで金利が上がったら膨大な借金を返済できなくなり、会社が破産してしまう。それでは若社長の経営手法が間違っていたことになってしまう。同時に、低金利でどんどん融資してきた金融機関も大変なことになる。そこで金利は上げないと頑なになっている。しかし、身動きが取れないというのが実態だ。
現実の話しにもどると、日銀は安倍元総理の「国葬」までは利上げしない。日銀が利上げに方向転嫁するのは9月27日以降になるだろう。以上は「エセ」ノミストの主観的な独り言である。
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