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2022年11月

2022年11月28日

今度は談合疑惑

Photo_20221125074901 (国立競技場=東京都新宿区)

 オリンピックでは贈収賄容疑で大会組織委員会元理事が逮捕・起訴された。今度はテスト大会業務の入札における談合疑惑が取りざたされている。東京地検特捜部と公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで本格捜査に乗り出した。

 だが、いま問題になっている贈収賄容疑や談合疑惑だけではなく、さらに奥があるような気がしている。もっと大物がいて、そこまで捜査のメスが入るかどうか。検察がどこまで切り込むのかに関心を持っている。徹底して捜査を進めるのか、それとも政治的配慮で今回の独禁法違反容疑までにとどめるのか。検察の本気度が試されているように思う。

 そんなことで、大物まで捜査が及んだ場合を想定してあらかじめ撮っておいたのが今回掲載した国立競技場の写真である。9月中旬にJR千駄ヶ谷駅近くにあるデザイン事務所に仕事の打ち合わせで行った。その時に五輪疑惑の今後の展開がフッと頭に浮かんだので、「その時のコラム」に使用するために撮っておこうと思ったのである。

 だが、なかなか大物の名前が出てこない。そこまでいかずに五輪をめぐる一連の疑惑に幕が引かれるかも知れないので、国立競技場の写真をどうしようかと思っていた。そこで写真が古くなる前に、今回の談合疑惑で掲載することにした。

2022年11月21日

天高く物価高騰の秋

Photo_20221117072901 (陣馬高原下バス停前=東京都八王子市)

 正に「天高く物価が高騰する秋」である。1人だけの会社だが事務所を閉鎖して「在宅勤務」するようになって約2年半になる。そのため最近は近くのスーパーに買い物に行く機会が増えた。春先も物価高騰を感じたが、秋になってからは食品をはじめ消費財の大幅な価格高騰を強く実感するようになった。これでは、収入が増えなければ生活がたまらない。

 総務省の発表では、10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比で3.6%の上昇。この上昇率は1982年2月以来、40年8カ月ぶりという。40年前に18歳だった人でも現在は58歳になる。つまりもう少しで還暦だ。したがって多くの人が初めて経験する消費者物価の高騰といえる。

 原材料価格の高騰にはコロナや国際情勢などの要因があるが、そこに加えて円安である。日銀は金融緩和策を続ける方針のようだが、ここで金融引き締めに転じたら、約10年間に及ぶ「アベノミックス」の失敗を正式に認めるような結果になってしまう。それに金利の引上げに転じたら、この間のあらゆる金融政策の歪が一気に噴き出してくる。日銀の実態は「引くに引けない」というところまで追いつめられている、といえるだろう。

 黒田日銀総裁の任期も半年を切った。中国の習近平主席のような3期目はないだろうが、大変なのは後任の日銀総裁である。ここまで金融政策が歪められてしまっていては、正常な軌道に戻すのが大変だ。つまりアベのミクスの「尻ぬぐい」から始めなければならず、金融政策を正常な軌道に戻すだけでも、かなり長い期間が必要になる。その間、日本経済は厳しい状態が続くだろう。我われの生活も同様である。スタグフレーションの泥沼にはまらなければ良いのだが。

2022年11月14日

宇宙時間

Photo_20221111185601 弘前城天守閣(工事中のため仮天守)から岩木山を臨む=青森県弘前市

 もう11月も中旬になってしまった。2022年はまだ1カ月半ほど残っているが、今年も早かったな、といった気持が日増しに強くなってくる。すでに1カ月も前から来年の手帳は買ってある。そして来年1月から12月までのレギュラーの仕事の予定(原稿〆日など)は記入した。

 毎年の年中行事のように「1年が経つのは早い」といっている。だが、そもそも人間の一生など宇宙の時間からするとほんの一瞬に過ぎないものだと先日の皆既月食で実感させられた。11月8日に皆既月食中に月の後ろに天王星が隠れる天王星食が同時に観られた。日本で皆既食と惑星食が同時に観られるのは442年ぶりという。前回は1580年なので安土桃山時代ということになる。次は322年後の2344年に、皆既月食中に月の後ろに土星が隠れる土星食が同時に観られると予想されている。

 ということは、現在、生きている我われは考え方によっては実に幸運な巡り合わせといえる。前回は1580年に生きていた人たちしか観ていないのだし、次回は2344年に生きている人たちしか観ることができない。もっとも2344年まで人類が生存できていることが前提だが‥。それはともかく、これが宇宙時間ということなのだろう。

 このように宇宙の歴史からすれば人間の一生など実にはかないものだ。はかない人生ではあっても、来年ももうひと踏ん張りするか! おっと、その前に年内に仕上げなければならない仕事がまだまだ残っていたっけ。

2022年11月 7日

時の移ろい

Photo_20221103165901 (斜陽館=青森県五所川原市)

 太宰治の生家「斜陽館」に行った。1907年に建造され、現在は国の重要文化財建造物に指定されてる。今から115年も前に建てられたのだから、かつての津島家の栄華を実感させる。

 だが、津島家の繁栄は多くの小作農の年貢によって成り立っていたというのも事実だ。斜陽館を見学しながら、ここで生活していた津島家の人たちと、当時の小作農の人たちのくらしを想像・比較してしまう。一所懸命に働いてやっと年貢を納めたら、間もなく厳しい冬が訪れる。小作農の人たちは豪雪の冬にはどのようにして暖を取りながら過ごしたのだろうか…。

 その津島家も戦後、この豪邸を手放すことになった。斜陽館のパンフレットによると、1948年に角田氏が住宅として購入。同氏は1950年に旅館「斜陽館」として開業し、その後、1976年には黒滝氏の所有に移る。だが、多数の太宰ファンが宿泊したという斜陽館も旅館としての歴史は46年間で幕を閉じ、1996年に旧金木町(現五所川原市)が買い取って現在は太宰治記念館「斜陽館」になっている。

 太宰は1948年に39歳で没したが、前年の1947年に「斜陽」という中編小説を発表している。それによれば時代の流れ、社会の変化を敏感に感じ取っていたのだろうと思う。だが太宰にとって、時の移ろいは同時に自分のサライの喪失を意味する。人間の心理は複雑だ。小説の「斜陽」から旅館名にしたというが、「斜陽館」とは感慨深い。

 入館前に写真を撮った時には夢中で気づかなかったのだが、帰り際に写真を撮りながら訪れる前に想像していたのとは逆だったことに初めて気づいた。館内を見学している間に時間が経過し、太陽の光の角度が傾いていたからだ。この豪邸は西側に面していたのか、と。

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