「2024年問題」
浜昼顔と米軍試射場射爆指揮所=石川県内灘町
最近はトラック運送業界の「2024年問題」がマスコミでも取り上げられるようになってきた。政府も「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を設置し、「物流革新に向けた政策パッケージ」を示した。政策パッケージでは、「商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容」などを打ち出している。
「政策パッケージ」で示されている内容は、かなり総合的なもので行政の「やる気度」がこれまでとは違うことを感じさせる。商慣行の見直しは、発荷主、着荷主間の取引慣行の見直しで、物流面からみると「店着価格制」に問題があると指摘している。たとえばメーカーAから問屋Bに販売した商品が10万円だったとする。この10万円に、AからBに荷物を輸送する運賃が含まれているというのが「店着価格制」である。それを商品の販売価格は9万円とし、Bが1万円の運賃をはらって運送会社に委託してAから購入した商品を引き取るような形に商慣行を変えることまで提言している。これは、ネット通販における「送料無料」にも共通する。
また、加工食品では消費期限までの残り期間が2分の1までの納品=2分の1ルールから、3分の2の期間を残す3分の1ルールに変えることも提言している。これは物流だけではなく食品ロスの削減とも関連している。さらに、発注から納品までのリードタイムも翌日納品から翌々日納品に延ばすことを求めている。
2番目の物流効率化では、DXなどによる生産性の向上もあるが、もう一つは運送業界の多層構造にもメスを入れる。さすがに行政文書なのであからさまには書いていないが、多層構造の下層の方で仕事う請けていて、ドライバーの労働時間短縮などができない事業者は淘汰されても良い、という方向性がハッキリと読み取れる。第3の荷主・消費者の行動変容では、享受したサービスには対価を支払うことが当たり前になる社会になることを促している。
このパッケージに示された内容が実施されることになれば、物流というよりも経済活動や日常生活といった社会全体が大きく変わってくるものと思われる。
最近のコメント