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2023年6月

2023年6月26日

「2024年問題」

Photo_20230623081201 浜昼顔と米軍試射場射爆指揮所=石川県内灘町

 最近はトラック運送業界の「2024年問題」がマスコミでも取り上げられるようになってきた。政府も「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を設置し、「物流革新に向けた政策パッケージ」を示した。政策パッケージでは、「商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容」などを打ち出している。

 「政策パッケージ」で示されている内容は、かなり総合的なもので行政の「やる気度」がこれまでとは違うことを感じさせる。商慣行の見直しは、発荷主、着荷主間の取引慣行の見直しで、物流面からみると「店着価格制」に問題があると指摘している。たとえばメーカーAから問屋Bに販売した商品が10万円だったとする。この10万円に、AからBに荷物を輸送する運賃が含まれているというのが「店着価格制」である。それを商品の販売価格は9万円とし、Bが1万円の運賃をはらって運送会社に委託してAから購入した商品を引き取るような形に商慣行を変えることまで提言している。これは、ネット通販における「送料無料」にも共通する。
 
 また、加工食品では消費期限までの残り期間が2分の1までの納品=2分の1ルールから、3分の2の期間を残す3分の1ルールに変えることも提言している。これは物流だけではなく食品ロスの削減とも関連している。さらに、発注から納品までのリードタイムも翌日納品から翌々日納品に延ばすことを求めている。

 2番目の物流効率化では、DXなどによる生産性の向上もあるが、もう一つは運送業界の多層構造にもメスを入れる。さすがに行政文書なのであからさまには書いていないが、多層構造の下層の方で仕事う請けていて、ドライバーの労働時間短縮などができない事業者は淘汰されても良い、という方向性がハッキリと読み取れる。第3の荷主・消費者の行動変容では、享受したサービスには対価を支払うことが当たり前になる社会になることを促している。

 このパッケージに示された内容が実施されることになれば、物流というよりも経済活動や日常生活といった社会全体が大きく変わってくるものと思われる。

2023年6月19日

根上松(値上がりで音を上げる)

Photo_20230617141301 根上松=金沢市 兼六園

 取材で能美市に行き、小松駅からJR西で金沢駅に着いたのが16時近くだった。宿泊予定のホテルは金沢駅の目の前だがチェックインをせず、荷物を持ったままタクシーで兼六園に直行した。翌日は天気が悪くなりそうなので、天気の良い今日のうちに行った方が良さそうだと判断したからだ。開園時間は18時までなので、短時間ではあるが久しぶりに園内を巡ろうと思ったのである。

 正確には覚えていないが、兼六園を訪ねたのは10年ぶりぐらいではないかと思う。これまではいつも入場料を払って入園していたが、今回は無料だった。喜ぶべきか悲しむべきか、いずれにしてもそれだけ時間が経ったということである。その間にも金沢を訪ねてはいるが、兼六園には行っていない。今でも印象に残っているのは雪景色の唐崎松(からさきのまつ)を見たことや、秋には園内を歩いていて暑かったので、時雨亭(しぐれてい)で上着を脱いで抹茶をいただいた記憶などがある。

 今回の訪問で一番記憶に残るだろうと思われるのは根上松(ねあがりのまつ)だ。パンフレットによれば、大小40数本の根が地上2mにまでせりあがっている(写真)。おりしも、昨今はあらゆる物価が「値上がり」し、我が家では「音を上げ」ている。そうか! やはり入園料無料は喜ぶべきことか?

2023年6月12日

運動会の写真撮影

2014125 水上の学校=カンボジア トンレサップ湖(2014年12月撮影)

 長女一家の小学生の孫たちの運動会があった。コロナの間は両親以外は参観できなかったので4年ぶりの写真撮影である。4年前は2年生だった上の女の子はもう6年生なので今年が小学校最後の運動会だ。その時にはまだ小学校に入学していなかった下の男の子も3年生になった。

 今回はコロナによる見学規制が少し緩和されたが、雨で開催日が延期されたりして必ずしも順調というわけではなかった。それでも当日は天候に恵まれたので良かった。だが、この間に体力が衰えてきたことを実感せざるを得ない。プログラムをみながら子供たちがでる順番を確認し、生徒たちの動きを想定して撮影のポジションを考える。事前に移動して撮影場所を確保し、競技が始まるのを待っていなければならない。わずか半日だが、休みなしに動き回るのは疲れるようになってきた。自分の体力が衰える分、孫たちが成長していることになる。これも仕方がないことか‥。

 暑いので熱中症にならないように水分を補給しないといけない、などと考えながら写真を撮っていたら、フッとあの学校の運動会はどうなのだろう、と思い出した。トンレサップ湖の水上に浮かぶ学校の生徒たちである(写真)。「かけっこ」ではなく、「泳ぎっこ」なのかな?

2023年6月 5日

「週刊朝日」休刊

Photo_20230602154501 「トラック運送企業の働き方改革」=5月26日増刷

 「週刊朝日」が休刊になった。週刊誌の先駆けで1922年の創刊というから101年目での休刊である。最後の号の発売日に書店に行った。午前中は急ぎの仕事があったので、昼頃に行ったらすでに売り切れになっていた。「朝日ジャーナル」の休刊号の時には買えたのだが、今回は2、3の書店を周っても全部売り切れだった。休刊を惜しむ人が多かったものと思われる。

 最近は週刊誌も部数が減少してきた。単行本に比べると雑誌の落ち込みは比較的少なかったので、雑誌の物流網をベースに単行本を積み合せる形で書籍の物流が成り立っていた。だが、雑誌の販売部数も落ち込んできたので、出版物の物流は大きな転換期にきている。

 そのような中でも「週刊文春」は奮闘している。新聞社系の週刊誌は内容がおとなしく、出版社系の雑誌はいろいろ冒険をしたり過激な記事もある。新聞社系の週刊詩は本体の新聞との関係があって「常識的」な内容の域を出られないのだという。新聞は記者クラブに加盟しており、番記者といわれる記者は常に特定の人物に張り付いて取材している。週刊誌の記事が原因で取材対象者や特定の組織との関係が悪化すると、スクープ(リークが多いが)できないだけでなく、「特落ち」もあり得る。そのために新聞社系の週刊誌には限界があるようだ。

 その点、出版社系の週刊誌は特定の対象者に張り付いて取材しているわけではない。編集企画に沿って取材するので、取材対象者との関係も極論すると「一期一会」的でも何とかなる。そこで大胆な切り込みができる。そのような中でも「週刊文春」は頑張っているとえる。

 ところで、4月10日づけ当コラムで書いたように、1月26日に発売された拙著「『送料有料』です!」が4月6日に増刷になった。今度は2019年10月6日に初版1刷を出した「トラック運送企業の働き方改革」が5月26日に増刷になった(今回の写真)。おそらく「『送料有料』です!」にけん引されたのだろうと思う。「2024年問題」まで残された期間は少ない。売れてくれることを願う。

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