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2024年2月

2024年2月26日

大根役者の「迷演技」

Photo_20240220080501 瑠璃光寺(国宝五重塔は改修工事のためシートで覆われていた)=山口市

 「大根役者」という表現がある。演技力などが伴っていない役者を揶揄する言葉である。大根は白いので「素人」からきているという説もある。たしかに、テレビドラマなどを観ていても、人気があるからの配役だと明らかに分かるような、演技が素人的なタレントもいる。大根役者でも人気のあるタレントを主役にすることで視聴率を稼ごうという演出なのは見え見えだ。

 これは歌でも同様だ。歌がうまいとは思われないのに、人気のある歌手(グループ)がいろいろな番組に出演している(最近はかなり減ってきたが)。しょせん視聴率には勝てないということか。

 これらは娯楽だからかまわない。観ている方は楽しければ良いのだから。テレビ局も視聴率が取れてスポンサーがつけば商売繁盛である。

 それにしても今年に入ってから日経平均株価の上昇が続く。自分のような素人には株価が上がる理由がさっぱり分からない。たしかに決算の数字をみると利益などが出ている企業が多いのは事実だ。しかし、企業業績に企業力の実態が伴っているとは思えないのだ。

 アベノミクス(当時の黒田日銀の異次元緩和なども含め)によって日本経済が歪められた結果である。株価には上場投資信託(ETF)による日銀の株の購入や、国債の大量買いつけなども影響していると思う。それに円安である。

 最近つくづく感じるのは、銀行から僅かな金額を振り込むのにも、えっ! と思うほどの振込手数料がかかることである。銀行が本来の業務で利益が出せず、そのツケを各種手数料の値上げで我われ庶民に転嫁しているからだ。

 だが、そんなことは構わない。一部の人たちが儲かりさえすれば良いのだから。昨今の株価の高騰は大根役者の「迷演技」を観ているようなものだが、証券業界や投資家にとっては万々歳だろう。一方、自分のような株価の変動には関わりない貧乏人は、大根役者が主役のテレビドラマでも観ているのが一番、安上がりのようだ。

2024年2月19日

「抜かれつちまつた‥‥」

Photo_20240213084901 中原中也記念館=山口市

 8年4カ月ぶりに中原中也記念館に行った。前回は同記念館の近くのホテルで講演があって行ったのだが、スケジュールの関係で往復ともに飛行機で日帰りだった。そのため僅かな時間で慌ただしく展示品などをみて回った。今回は往復ともに新幹線で、しかも急遽、セミナーの前日に現地に入ることになり、2泊3日だったので時間的に余裕があった。

 中原中也記念館は前回訪ねた時の印象と全く変わらなかった。だが、湯田温泉駅から井上公園までの「おいでませ駅通り」から「公園通り」を歩くと、心なしか駐車場が増えたように感じた。記憶が定かではないが、通りの両側にもっと建物が建っていたのではなかったか、と思う。この間のコロナ禍などにより観光客が減ったことが影響しているのだろうか。また、路地に入ると空き家と思しき建物もある。

 そのような中、今年に入って「ニューヨーク・タイムズ」が世界の旅行先として「2024年に行くべき52カ所」を発表し、3番目に山口市が紹介された。この朗報? に地元ではインバウンド需要に対する期待が高まっている。

 一方、2023年の日本の名目GDP(国内総生産)が米ドル換算でドイツに抜かれ世界4位に転落した。1968年に当時の西ドイツを抜いて以来、55年ぶりの逆転という。これには円安なども影響しているが、バブル崩壊後の日本経済の構造的な低迷の影響が大きい。

 1968年に西ドイツ(当時)を越した日本は長年にわたりアメリカに次ぐ2位だった。その後、2010年には中国に抜かれて3位となり、今度は人口が約3分の2のドイツに抜かれたことになる。

 しかし、肝心なのはGDPの順位ではない。国民が幸せを実感できる社会かどうかだ。経済活動は誰のためのものなのか。かりにGDPの伸びが大きくても、その利益を得るのが一部の人間だけでは意味がない。重要なのは富が偏らないような配分の構造である。経済成長の恩恵を多くの国民が享受できて幸せに感じるなら良いが、そうでない日本の現状からは「抜かれつちまつた悲しみ‥‥」の実感などない。

2024年2月12日

販売機会損失

Photo_20240208083801 別格本山 塩船観音寺=東京都青梅市

 「販売機会損失」といったことを書いたり話したりすることはあった。だが、まさか自分自身のことになるとは思ってもいなかった。というのは、ほかでもなく当コラムに関連してである。

 このコラムを始めたのは2012年1月9日の月曜日から。前年の3月11日に東日本大震災があった。これまでの人生で一番大きな衝撃を受けた出来事といっても良い。その後いろいろ考えたが、行き着いたところは人の運命などはいつ、どのようになるか分からないものだ、ということだった。そこで、その時々で好き勝手なことを書いて残しておこうと、翌年1月の第2月曜日から書き始めたのである。基本的には毎週月曜日の朝にUPすることにし、途中で上手く入力できなくなったりして2、3回休んだことがあったが、今年で12年目に入った。

 ずっと文字だけだったが、2年前の2022年1月3日づけから写真も掲載することにした。写真は基本的に1、2カ月以内ぐらいに撮ったものだが、たまにはずっと以前に撮影したものを掲載することもある。そのような写真には撮影年月を書くようにしているので、とくに何も書いていなければ最近、撮影した写真だ。また、記事に関連する写真もあれば、全く記事には関係ない写真もある。そして「物流コラム」と称しているが、物流には関係なく何でもアリで書いてきた。

 そんなことで、正直なところ読む人などいないだろうと思い、コメントには全く関心がなかった。ところが先日、コメントがあったので、あっ! と驚いた。あるテレビ局の人からのもので、至急連絡をとりたい、というものだった。そこで、過去にさかのぼってみたら、時々だがコメントが寄せられていた。しかも、その多くは講演を依頼したいので返信して欲しい、といったものである。

 ホームページを開設していないので、連絡先が分からないようだ。テレビやラジオ、新聞社などからのコンタクトは出版社や日本物流学会事務局などを経由してくることが多い。講演のオファーはエージェント経由もある。そのような中の一つとして、当コラムへのコメントという形でコンタクトをとってくるケースがあることを初めて知った。また、携帯の電源を切っていたり、すぐに電話に出られなかったために、テレビ局からのオファーを逃したことが昨年は2回あった。

 当コラムのコメントを見逃していたことや、携帯電話の電源を切っていたための「販売機会損失」があったことになる。残念!

2024年2月 5日

もうすぐ春が

Photo_20240202165501 梅の向こうに菜の花=東京都中央区 浜離宮恩賜庭園

 長男に2人と長女に2人と合わせて4人の孫がいるが、最年長の孫娘が中学校の入学試験に受かったという。高校から大学まであるが、本人は大学は他に行きたいと言っていた。自分は受験勉強を経験したことがない。だから、こんな人生になってしまったのだと自覚しているが‥‥。それはともかく、今の子供たちは中学入試の受験勉強までして大変だ。

 2月2日の朝日新聞朝刊に、「中学受験期 小学校授業に影響も」「首都圏ピーク、欠席多数で自主学習」という記事が出ていた。それを読んだ約3時間後に「受かった」という電話が長女から来た。もう一つの中学校には受かっていたが、希望していた中学に合格したので良かった。

 あと3人の孫たちもどうすることやら。自分の人生なのだから、自分の好きのように生きれば良い。まず、元気であること、さらに一言つけ加えるなら自らの責任において自由に生きる、である。

 合格したという電話を受けた後に外出した。仕事で浜松町の近くに行ったので浜離宮まで足を延ばした。浜離宮は久しぶりで、以前に来たのはおそらく40年ぐらい前だろう。歳月の流れは早いもので、入園料がシルバー料金で半額の150円で済んだ。喜ぶべきか、悲しむべきか。

 園内には白と桃色の梅の花が咲いていた。その後景には黄色い菜の花だ。もうすぐ春が来る喜びと、去り行く季節への僅かな心残りと‥。

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