「抜かれつちまつた‥‥」
中原中也記念館=山口市
8年4カ月ぶりに中原中也記念館に行った。前回は同記念館の近くのホテルで講演があって行ったのだが、スケジュールの関係で往復ともに飛行機で日帰りだった。そのため僅かな時間で慌ただしく展示品などをみて回った。今回は往復ともに新幹線で、しかも急遽、セミナーの前日に現地に入ることになり、2泊3日だったので時間的に余裕があった。
中原中也記念館は前回訪ねた時の印象と全く変わらなかった。だが、湯田温泉駅から井上公園までの「おいでませ駅通り」から「公園通り」を歩くと、心なしか駐車場が増えたように感じた。記憶が定かではないが、通りの両側にもっと建物が建っていたのではなかったか、と思う。この間のコロナ禍などにより観光客が減ったことが影響しているのだろうか。また、路地に入ると空き家と思しき建物もある。
そのような中、今年に入って「ニューヨーク・タイムズ」が世界の旅行先として「2024年に行くべき52カ所」を発表し、3番目に山口市が紹介された。この朗報? に地元ではインバウンド需要に対する期待が高まっている。
一方、2023年の日本の名目GDP(国内総生産)が米ドル換算でドイツに抜かれ世界4位に転落した。1968年に当時の西ドイツを抜いて以来、55年ぶりの逆転という。これには円安なども影響しているが、バブル崩壊後の日本経済の構造的な低迷の影響が大きい。
1968年に西ドイツ(当時)を越した日本は長年にわたりアメリカに次ぐ2位だった。その後、2010年には中国に抜かれて3位となり、今度は人口が約3分の2のドイツに抜かれたことになる。
しかし、肝心なのはGDPの順位ではない。国民が幸せを実感できる社会かどうかだ。経済活動は誰のためのものなのか。かりにGDPの伸びが大きくても、その利益を得るのが一部の人間だけでは意味がない。重要なのは富が偏らないような配分の構造である。経済成長の恩恵を多くの国民が享受できて幸せに感じるなら良いが、そうでない日本の現状からは「抜かれつちまつた悲しみ‥‥」の実感などない。
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