「異次元」後遺症
宇都宮ライトレール=栃木県宇都宮市
やっと日銀が「異次元緩和」から金融の正常化に向けて政策転換を図ることになった。悪夢の「アベ黒ノミクス」からの決別である。だが、後遺症が心配だ。時間をかけて慎重に正常化を図らなければならない。
マイナス金利の解除や長短金利操作の枠組み撤廃による影響をいかに少なくするか。時価ベースで70兆円ともいわれるETF(上場投資信託)による株の買い入れを終了し、どのように保有株を市場に放出するか。株式市場を正常な状態にする過程で、逆に株式市場に大きな影響を与えてはいけない。また、発行残高の5割超にもなる約590兆円に上る国債保有といった問題もある。この膨大な国債保有を減らすことは容易ではない。国としても、財政的には金利の上昇で国債の利払いが増えることになる。
このように「アベ黒ノミクス」の後遺症は大きい。植田日銀総裁も大変な責任を背負わされたものだ。ひたすら願うのは、一部の富裕層ではなく、多くの国民にとって幸せをもたらす金融政策への回帰である。
だが、与党内ではまだまだ積極財政派の力が強いようにみえる。それに財政再建派より声が大きいのが特徴だ。さらに安倍派の「積極財政」のセンセイ方と、パーティー券のキックバックや中抜き収入の政治資金収支報告書への不記載(過少記載)のセンセイ方の多くが重複しているのも興味深い。
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