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2025年9月

2025年9月29日

百年の「刑」

Photo_20250923080501 福山城(1966年再建)=広島県福山市

 日本銀行がETF(上場投資信託)の売却開始を発表した。報道によると日銀がETFを通して所有する株式は2025年3月現在、簿価で37兆1861億円で、時価では約70兆円という。これを簿価で年に3300億円ずつ売却しても全部売却するまでには100年以上かかるらしい。

 そもそも中央銀行が株を持つことがおかしい。株式市場をゆがめてしまう。だが、「アベノミクス」では、ETFを通した日銀の株保有による株価の引上げや、日銀による国債購入など、なりふり構わず目先の「功績」を最優先した。この「功績」の恩恵は一部の者が受け、そのツケは多数の国民がいずれ払うことになる。まさに「我が亡き後に洪水は来たれり」だった。

 それにしても現在の日銀は「異次元緩和」の尻ぬぐいで大変だ。しかも、ETFでいえば株式市場に影響が出ないようにソフトランディングをしなければならない。それが100年もかかるという。

 遠い将来のことまで考えた計画を「百年の計」と言う。優れた指導者の打ち出す施策などを表現する。だが、我われには「アベノミクス」を支えた異次元緩和によって「百年の刑」が残されたようだ。

2025年9月22日

「19.2秒」雑感

Photo_20250915073901 尾道駅前⇔向島(富浜)の渡船上からみた尾道市街=広島県尾道市

 「19.2秒」‥‥説明するまでもなく伊東市の田久保真紀市長の「迷言」である。テレビニュースを観ていて「19.2秒」も見せたという発言には笑ってしまった。そして次の2つが頭に浮かんだ。

 一つは、卒業証書なるものを「チラ見せ」ではなく、ちゃんと「19.2秒」も見せましたという発言は、偽造私文書を行使したと自白しているに等しい。なぜなら、卒業ではなく除籍であることは市長自身が認めているのだから本物の卒業証書はあるわけがない。だが、あたかも卒業していると錯覚させるために19.2秒も見せたのだから確信犯である。市議会議員の人たちは即座に、その点を指摘して行動を起こすべきだったのではないか(偽造有印私文書等行使で告発したのはずっと後になってからだ)。もし卒業証書なるものを自分で作ったとしたら、有印私文書偽造罪にもなる。まぁ、市長も市議会議員も、どっちもどっちだなと思った。

 二つ目は、19.2秒と聞いて、たしか陸上の男子200mの世界記録がそれぐらいだったことを思い出した。そこでネットで調べてみたら、男子200mの世界記録は2009年にウサイン・ボルト選手が出した19.19秒とあった。やはりそうだった。ちなみに女子200mの世界記録は2004年にシェリカ・ジャクソン選手が出した21.34秒である。

 オリンピックでも世界陸上でもいつも100mを注目していた。だが「19.2秒」のおかげで、今回の世界陸上東京大会では男子200mが気になった。大会は昨日閉会したが、男子200mはノア・ライルズ選手が優勝して4連覇を達成した。だが、優勝記録は19.52秒だったので、マキ・タクボ選手の19.20には及ばなかった。ライルズ選手の方がたくさんの人たちに0.32秒も長く見せてくれたことになる。

 伊東市では市議会議員選挙が行われる。市長不信任が決議されたのを受けて、田久保市長は辞職して市長選に立候補することをせず、市議会解散を選んだ。おそらく辞職して市長選に再立候補しても当選は難しいと判断したのだろう。しかし、市議選で市長支持派が3分の1以上の議席を得られれば、再度の不信任決議はできなくなる。その方が可能性が高いという判断だ。

 だが、ここに至っても一定数の田久保市長支持者がいるということは何を意味するのかを考えなければならない。前市長とその与党による過去の市政も併せて問われている、ということである。マスコミ報道には、その点についての指摘が欠落している。だから「オールドメディア」と言われ、SNSでの偽情報などが闊歩することになるのだ。

2025年9月15日

豪雨で往復とも新幹線遅れ

Photo_20250912072701 被ばく80年の原爆ドーム=広島市中区

 約6年ぶりの広島だが、異常気象の影響で大変な目に遭った。集中豪雨のため東広島駅付近で新幹線の信号機が故障し、三原駅に2時間半以上も臨時停車したままだった。

 あるグループの会合がヒルトン広島であり、1時間ほど話をする予定だった。時刻通りなら広島駅に開始時間より2時間ほど早く着くようにしていたのだが遅刻である。幸い参加者は北海道から九州まで全国各地からなので、定刻に間に合わない人が多かった。そのため開始時間を約1時間ほど遅らせ、自分の話しも45分に短縮した。

 2時間半以上の遅れなので、翌日、みどりの窓口で特急料金を払戻ししてもらった。2時間30分の「対価」として時給換算すると、東京都の新しい最低賃金よりかなり高いので、2時間半のアルバイト代と解釈することにした。だが、それとは別に、新幹線が臨時停車していた時間に実際に「アルバイト」していたのである。Yahoo!ニューストピックスの石油販売カルテルに関する記事(毎日新聞)へのコメント投稿である。

 ところが翌日の帰りの新幹線も、都内や横浜などの集中豪雨で新横浜駅~品川駅間で運行がストップ。自分が乗った新幹線は岐阜羽島駅で臨時停車した。前日と同様に2時間程度の遅れを覚悟したのだが、東京駅には40分ぐらいの遅れで着いた。

 いろいろ出歩いていると交通トラブルには何度も遭遇している。なかでも一番の「想い出」は、ポーランドのワルシャワから夜行列車でハンガリーのブタペストに向かっている時、国境警備隊と称する人たちが、チェコのビザが無いという理由で、ポーランドとチェコの国境近くの駅に臨時停車させ、深夜に駅のホームに強制的に降ろされてしまったことだ。後でチェコの大使館で聞いたら通過するだけなのでビザはいらないので、チェコと紛争中だったスロバキアの「国境警備隊」が、いやがらせをしたのだろう、ということだった。

 海外ではベルギーのブリュッセルからオランダのアムステルダムに行く特急列車でも慌てた経験がある。列車のトラブルらしく途中駅で急遽、別の列車に乗り換えることになったのだ。しかし、恥ずかしながら日本語以外で放送されても理解できない。それで、ボックス席にのんびり座っていたら、わざわざ知らせにきてくれた親切な人がいて、発車間際にホームの向かい側に止まっていた別の列車に乗り換えることができた。もしトラブルのあった列車に座ったままだったら、車庫に連れていかれてしまったかも知れない。

 その他、国内でも様々なトラブルに遭遇した。だが、集中豪雨によって往復とも列車遅れというのは初めてだ。これもなかなかできない経験である。そのおかげで今回のコラムのネタができたのだから「感謝」すべきか‥‥。

2025年9月 8日

政治混沌、国民悲惨

Photo_20250901142501 いばらきフラワーパーク=茨城県石岡市

 昨日、石破自民党総裁が辞任の意向を表明した。この間、自民党は前倒し総裁選を実施するのかしないのか様々な動きがあった。いろいろな筋から聞くところによると、石破下ろしに積極的な旧安倍派の人たちは、参政党の議席増は右派支持者の自民党離れの現れと焦りを持っていたという。だが、自らの裏金問題や旧統一教会との関係などには明確なけじめをつけていない。また、前倒し総裁選実施の賛否を表明するのに、氏名公表をどうするかも揉めていた。氏名公表を躊躇するというのは政治信念が問われる恥ずかしいことだと考えないのだろうか。世論調査の石破支持率上昇で、実質的な石破不支持を意味する前倒し総裁選実施の賛成に回れば、次の選挙が不利になるという打算だろう。また、結果によっては自分の今後の党内の処遇を左右する。

 また、一部には下野論もくすぶっているという。ここで野党に政権を渡してやらせれば、上手くいかないのは予測できる。その結果、やはり自民党でなければダメだとなるので、選挙が有利になるということらしい。国民よりも自分のことしか考えていない身勝手な人たちだが、一方、現状では核になれる野党がないのも事実だ。議席数からいえば立憲を中心にした連立政権ということになるだろうが、立憲にそれだけの力量があるとは思えない。

 かつての民主党政権の当時、記憶に残っているのは事業仕分けだ。トラック協会への交付金が俎上に上ったので、事業仕分けの現場を取材した。詳細は省くが、仕分人のあるセンセイからの質問に当時の全日本トラック協会の理事長が応えたのだが、どうも要領を得ない。それもそのはず、交付金の原資である軽油引取税は地方税なのだが、仕分け人のセンセイは国税と思い込んで質問しているからだ。「軽油引取税は国税ではなく地方税なので、その質問にはお答えしかねる」と言ってしまえば話は早い。だが、それでは仕分け人のセンセイのメンツを潰すことになるので、気づいてもらおうと遠回しにあれこれ説明している。そのため一般の人たちからすると、仕分け人からの鋭い質問に正面から答えられなくて、しどろもどろしているように見えてしまう。そのような傍聴人たちにテレビなどが感想を聞けば、事業仕分けは効果的だったかのようなコメントになる。そういえば当時、事業仕分けのボスは肩で風を切って歩いていたっけ。

 次の自民党総裁が誰になるのか。いずれにしても与野党ともに情けない。一番悲惨なのは我われ国民だ。

2025年9月 1日

ガソリン&軽油暫定税率

Photo_20250830084001 板橋不動尊(清安山不動院)=茨城県つくばみらい市

 ガソリン税の暫定税率廃止への注目度は高い。8月11日にYahoo!ニュースエキスパートにUPしたガソリン税と軽油引取税の暫定税率廃止に関する記事はアクセス数が多かった。軽油だけでは一般の人たちには馴染みが薄いのでアクセス数が少ないだろうと思い、ガソリン税の暫定税率廃止と軽油引取税の暫定税率廃止を関連付けた記事にしたのである。また、8月24にYahoo!ニューストピックスに掲載された同日付の朝日新聞の記事にコメントしたら、「参考になった」が3万を超えた。

 このように自動車の燃料価格の高騰に多くの国民が困っているのが現実だ。そこで8月1日にガソリン税の暫定税率廃止法案が野党7党から出され、与野党で代替え財源が検討されている。ところが、暫定税率廃止に伴う税収減を自動車に関連する新税で補おう、という案を財務省と総務省が考えているというのだ(8月24日付け朝日新聞記事)。それでは本末転倒だ。

 ガソリン税の暫定税率廃止の後は、軽油引取税の暫定税率廃止が俎上に上る予定だが、そもそも国民や運送事業者が燃料価格高騰で困っているから、暫定税率の分をなくして価格を安くしようというのが暫定税率廃止である。にもかかわらず自動車に係る新税で税収が減る分を補うというのでは、税金の名目を変えただけだ。生活のために自動車に乗る人たちや自動車で仕事をしている事業者の税負担は変わらないことになる。

 それよりも支出を見直してムダな支出をなくし、財源をねん出すべきだろう。

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